雲ノ平・水晶岳を目指して単独テント泊で縦走(3)祖父岳〜水晶岳編

目次

03憧れの水晶岳へ

地図ワリモ分岐から水晶岳
空身で水晶岳へ向かう

歩き出してスグにテント用ザックがないだけで、こんなに歩くのが楽なのかとしみじみ感じる。

空身だと歩くのも楽

遠くに見える山を、風景を見ながらの歩みが楽しい。
水晶小屋への最後の急登手前には「のぼり10分」と書いてある看板があった。

水晶小屋まで10分の看板

最後の急登だけがチョット辛かったけれど、コースタイムより早く水晶小屋に到着し、チョットご機嫌。

水晶小屋までの急登に咲く花

水晶小屋のトイレは最近改装したばかりなのか?綺麗な外観でした。入っていないので中はどうなっているか謎のまま…。

水晶小屋のトイレ

そうそう、水晶小屋は気象的・立地的に水の確保が厳しいと聞いていた。

帰りにコチラでサイダーでも飲もうと思っているけれど、宿泊者じゃない私にも売ってくれるかしら…?

イラスト不安な顔

宿泊者でない私に水を売ってくれなくても、それは仕方ないこと…でも…できれば水を売ってくれたら…三俣山荘まで楽になるな〜…。
そんな不安を感じつつ、水晶岳へ向かうことに。

小屋の裏手からあるき始めたら昨日テント場でお話した男性が!
彼はテント泊装備のまま登って降りてきたらしい…お疲れ様です。

水晶岳までは40分、そして登りが大変ですよ

山で会った男性のイラスト

とのアドバイス。
ひえーと思いながら覚悟を決めて歩き出すことに。

水晶小屋から水晶岳への道が広がる

けれども、この絶景…楽しいコトだけ考えて歩けそう!
そのまま、しばらく歩くと道はゴツゴツした岩場に変わる。

あ、あれ?

岩場についた頃には、ザックはないのに…スピード上がらない…。
やっぱり年なのかな〜と思いつつ…今思えば水晶岳だって標高はかなり高いんだもの呼吸が苦しくなるのは当たり前!平地と同じというわけには行きませんよね〜。

結構岩場な水晶岳への道

けっこう…怖い岩場を登る。

岩場が続く

遠くから見ていた水晶岳は頂上あたりが台形のマッタリした山に見えていたのが…近くに来て、登ってみたらハードな山じゃないのよ!アンタ!

水晶岳へは岩場がきつい

思い起こせば今シーズン初に近い岩場歩き…両手を使ってにじり登る。
高度があるので、この岩場に慣れてない精神が怖気づいてスピードが全く出ない。

もうチョットで水晶岳だ

山頂まで…あともうチョット…

なかなか着かない水晶岳

そして
とうとう水晶岳山頂に着きました!

08時27分水晶岳山頂に到着

水晶岳山頂の標識

さて、念願の水晶岳山頂に着いた時の感想といえば…

…狭い

狭い顔をしているイラスト

山頂の面積が狭いよ!水晶岳山頂!

槍ヶ岳山頂の方がずっと広い…!

水晶岳山頂からの風景

人と岩の合間をかいくぐって、一息付ける場所まで移動。

ああ、私…水晶岳へ来たよ!

水晶岳…この山を知り、登りたいと思った時…ちょっともやっとすることがあった。
それはテント泊をし始めた頃に、このブログに数回出てきた友人Xにその事を雑談ついでに話したら

行きたければ、ご勝手に行けばいいじゃないですか

友人X

と冷たくかわされた。
…そうね、たしかに私の心には下心があった。
その頃はまだひとり登山をすることなく、誰かと一緒じゃないとテント泊や北アルプスなんて…と思っていた。
水晶岳へ行きたいと言う発言をすることによって、賛同する人がいたらいいな〜と思って下心があったのは事実だ。

でもさ、でもでも…友人Xとはギブ&テイク、そしてダンナからもギブ、人間関係もギブをしていたつもりだったのに…そんな切り捨てるような言い方をしなくたっていいじゃん!
そんな私のドロドロした思い出がある水晶岳…。

ああ、そんな気持ちもこの水晶岳へ来たら…サッパリと…といわけにはいかず…心の中で

やーーーーい!友人Xめっ!私はひとりで来たよ!水晶岳!

笑顔のイラスト

まあ、それに対して友人Xからお言葉を頂けるとしたら

よかったですね

友人X

それだけだと思うが…。

でも、でもね、すっごい嬉しかった。
自分ひとりで北アルプス奥にある水晶岳へしかもテント泊で来ちゃうなんて…頑張ったよね私。

水晶岳山頂について感動

この水晶岳からダンナの居る東京に帰るのに、2日は必要…思えば遠くへ来たもんだ…。
はっ!そういえば水晶岳は携帯の電波は通じるかしら…?と思って、久しぶりに電源を入れたら…入った!
ダンナに「水晶岳なう」と送信し、生存確認メールを出せたと一安心。

水晶岳へ別れを告げる

そして、長居をし続けるには落ち着ける場所もそして時間も少ないので憧れ続けて数年の水晶岳を10分程の滞在で後にしました。

帰りの道は来た道をそのまま戻るだけだが、怖かった岩場の下りは上り以上に怖い。
水晶岳からの下山道

そして、やたら喉が乾く…暑さのせい、緊張のせいなんだろうか…
水晶小屋へ行ったら…水…水を売ってもらえなかったら…もうなんでもいいから液体を買う〜。

それだけを思って帰路を歩く。
晴れ上がった空

04水晶小屋を訪れる

水晶小屋へ着くと…やたら騒がしい…どうやらアジア系外国人たちが大勢いるようだ…。

山なのに…めっちゃウルセー

不満を抱えつつも笑っているイラスト

ストックを小屋の外に揃えて置いて…小屋に入ると…水を売ってくれている!しかもミネラルウォーター!
すっごい!ありがたい!
ただし、コチラの水を購入するには水を入れる容器が必要…この旅の間、幾度も私の喉を潤す手伝いをしてくれた…この「いろはす 2L」ボトル

いろはすのボトル

についでもらう…!

いや、別にハイドレーションシステムの容器はあるんだけど…行きのバスで急いで水を用意したらこのボトルを捨てる場所がなくって…でもね、いろはすのボトル意外に使いまわしましたよ!
素材がペコペコしているから…無理やりねじ入れればどんなトコにも入るから便利だったし…。見た目は…ヒドイけど…。

そして…水とは別にサイダーも購入。
昨日の雲ノ平山荘と同じく常温だと思っていたら…クーラーボックスから出してくれた…!
こんな、こんな過酷な場所なのに…なんて素敵な小屋なの…ちょっとウルッっときちゃた。

水晶小屋でサイダーを飲む

水500mlとサイダーをそれぞれ300円で購入し、小屋の端っこで頂く…。
この時のサイダーもめちゃくちゃうまかったー!

サイダーサイコーダ!

また、スタッフの対応が素晴らしかった!
受付のカワイイお姉さんが外国人にも、マイペースなおばさん集団にも優しい声で対応している…私にはあんな対応無理です!心が荒れます!

水晶小屋!素晴らしい!今度は泊まりにこよう!

と身体は潤い、心は温かくなって小屋をでると…
水晶小屋を出たところのザック

あれ?

アレレ?

私のストックがない!

えー!

まじで〜!

マジショック!

嫌な予感を感じているイラスト

ストック泥棒の話はネット上でチラホラ聞いていたけれど、自分がその被害者になろうとは…。
日帰り装備の時はストックは使いませんが、テント泊の時は欠かせないストック…双六小屋から新穂高温泉への岩場だらけの下りをストック無しで下るのかと思うと…気が重い……。
悲しくなって…ふと顔を上げると…誰かのザックの上に私のストックが揃えて置いてある…。

えっと…これ、私のよね?

ストックを手にとって石突きの先についているラバーキャップを確認。
ラバーキャップが取れやすいために、ちょっと変わった、頑丈なラバーキャップを着けているので間違いない。

そしてもう一つのポイント、このストックには一見わからないが、動かすと明確に壊れている箇所がある。
その部分を確認するとちゃんと壊れていて使えない…。

YES! we can’t!

オバマ氏の顔マネイラスト

手にとって見ていても誰も何も言ってこないので、これは私のストックだと確信し水晶小屋を後にすることに。

しかし…まあ、外国人さんたちの声のでかいこと…そんな大声出さなくても…と思ってしまう。
水晶岳山頂でご一緒しなくてほんとよかった。

小屋を出たら、ザックをデポしたワリモ分岐まで来た道を戻る。

水晶小屋からの帰り道

すると、向かいから20人以上の団体がやってきた。
ちゃんとした対応をするガイドさんが指揮をとっていたため、すれ違いストレスはなかったが…あの集団とあの狭い水晶岳山頂で鉢合わせたら…きっと彼らを憎んでしまっていただろう…。
ここですれ違えたコトはお互いにとってウィン・ウィンだったと思う。

こうやって、当時撮った写真を見返すと白い花がたくさん咲いていますね、なんて花なのか…知らないけど…。

水晶小屋からの帰り道2

そして、ワリモ分岐まで戻っきた。
ワリモ分岐にデポされたザック達は私がデポした時の3倍ぐらいにまで増えていました。
そりゃあ、置いて行きたくなるよね…。

ワリモ分岐まで戻ってきた

水晶岳への往復ですっかり疲れた身体は行きほど軽くない…ああ、こんな疲れているのにテント装備ザックを背負うのかと思うと気が重い…。
水をグイグイ飲んで、ちょっとお菓子を食べた後に…覚悟を決めてザックを背負う。

………重い…

重たいザックを背負うイラスト
ああ、この先、この重さを背負って移動か…今日はできれば双六小屋まで移動したいんだが…できるだろうか?

次に目指す三俣山荘にはこのワリモ分岐から2ルートある。
鷺羽山を越えて行くコース道を短縮して行くコース
道を短縮していくコースの方が、時間も短縮できるし楽そうだ…。
けれども、このワリモ分岐まで登るのが相当しんどい思いをしたのに……岩苔乗越まで下って戻るの〜?ちょっと悔しいかも…。
それに、せっかくここまで登ったから、鷺羽山を越えるのはそんなに辛くないかもね!
コースタイムの違いもチョットの差だし!

行っちゃえ!鷺羽岳!

笑いながら岩を歩くイラスト

…この判断がさらに苦しい山行を招き寄せるのだった…。

次回「雲ノ平・水晶岳を目指して単独テント泊で縦走(4)鷺羽山・三俣山荘・双六小屋編」に続きます。


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