雨音を聴きながら眠った夜が明けはじめ…このまま悪天候なら折立へ戻って帰ろうと思いつつ起きたところ雨は止んでいた。雨が降っていないなら…とりあえず薬師岳までは登ってみようかしら?天候が悪化したらいつでも撤退!そう決めて薬師峠から薬師岳へ向けて歩きだすことにしました。
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日が昇る前に歩き出す…薬師峠から薬師小屋へ
テントを撤収し歩き始めたのは、朝4時半。
周りのテントもどんどん撤収し始めているのに…このテン場から薬師岳方面へ向かう登山者はなぜかいない…。
みなさん雲ノ平方面に行かれるのかしら…?チョット寂しい。
薬師峠はから薬師岳までの標高差は約600メートル。
うん、今日はとりあえず薬師岳までは歩いてみよう。
薬師岳までだって必ず行かなくちゃならないわけではない。
なんとなくでも…登るのが嫌になったらいつでも下山!それができるのがひとり登山のメリットなんだから!
薬師峠から薬師岳への登山道は太郎平小屋側から見て、テント場奥の左手の茂みっぽい場所になります。
登山道に入ってスグに岩場の急な登りがはじまります。
ま、朝イチでなくても、折立から一日で薬師岳山荘へ行く人だってキツイ上りでしょう。
いわゆる沢の岩場なので、先程まで居た薬師峠のテント場よりも暗く感じます。
そんな中、ヘッドライトの明かりを頼りに岩場を登って行きますよ〜!
岩は比較的大きめなので、登る態勢は全身を使って登ることになります。
そんな岩場歩きを続けていると足場や手元ばかりに目が行ってルートを間違えやすくなるので、注意深くペンキマークを確認しながら上りました。
私は仲間がいると、仲間との交流に気を取られてルート間違いをしやすい気がするんですよね。
ひとりだと心がピリピリしているせいか、ちょっと歩いては確認。ちょっと歩いては確認。で自分自身を安心させながら進むので大きなルート間違いは少ない気がします。
あ、でもでも…ちょっと歩いて、見回して…
も、しでかしてます。
こうやって見返すと…この沢。
私が登った時は涸沢状態だったのですが、大雨が降ったらすごいことになりそうですね。
とはいえ、昨夜からの雨で岩がさりげな〜く湿っているので、油断して登ると滑るよ!
テント泊ザックも背中側にズッシリと重たくしがみついてくるので前や後ろに転ばないよう、かなり気を使いました。
急坂な岩場コースは平坦になってきた頃に、やっと岩場が終わります。
時間は5時15分。周りもだんだんと薄明るくなってきて、ヘッドライトの明かりに頼らずに歩ける明るさに。
霧でよく見えませんが…この辺りは高山植物の宝庫なんですって。
ほら、足元を見れば可愛い小さなお花がいっぱい!
その後も…この霧は雨じゃない。朝もやなのよ〜!と唱えながら歩きます。
だがご存知の通り、朝もやでも地味に濡れる。
と、ここでザックにザックカバーをかぶせます。
ちなみに私のテント用ザックは私の頭よりも高いのです。そこにグレイのザックカバーをかぶせたその後姿は…
塗り壁。
こうしてガスだらけの中をあるき続けると木道が現れました。
道は穏やかになり…本来なら山の美しさにうっとりするゾーンなんでしょうが。
いい感じに白い。
喜怒哀楽のない平坦な道を歩いていると、何やら標識が…。
そうですこの平坦なゾーンが薬師平です。
この薬師平には愛知大学大量遭難の慰霊碑の大きなケルンがあります。
平坦なコースはここらで終わり、再び上り斜面が現れてきました。
空は全く晴れず、心がどよんでいた時に上りでしょ?
しばらく行くか戻るか悩みましたよ。
立ちすくんで、スマホを見ていると…私を追い抜いていったカップルが戻ってきたり、また、私を追い抜いていってそのまま進んでいってしまった人がいたり…。
スマホをしまった後も…足元の白い小さなお花をかなりの時間、見つめていたかも…。
で、歩き出した。上りだした。
その五分後ぐらいに…ええ!とうとう…!
雨が…雨がポチポチと降ってきた〜!
実は…その前から、ポタっポタって感触はありまして…
とは思っていたのですが、
な〜んて自分に言い聞かせていました。
でもねぇ…もうダメ。これ雨。この後もずっと降る。
観念してレインウェアを着ました。
こちらにもコース上にペンキマークが多くつけられていました。
そして、ガスの中からチラチラ見える斜面のてっぺんゾーンを
と幾度思ったことか!
登った先には、ガスで見えてなかった次のピーク、そこを越えたら次のピークを繰り返しているうちに…なにやら標識が!
とうとう薬師岳山荘!
な、ワケがない、ここから薬師岳山荘まであと15分ですって!
近いけれど、ポッキリと心が折れきった私には長いなぁ〜。
ガスの中、雨の中。幾度も立ち止まりながら
その気持ちをグルグルさせながら重たく足を進めました。
あ〜あ…正直ちっとも楽しくない。
ダンナは今頃、家でクーラーの効いた部屋でスヤスヤ寝ているハズ…くっそうアイツめ〜と八つ当たり的思考になってきた頃にガスの中からウッスラと何かが見えてきた。
あれはまごうことなき建物だ!
6時30分薬師岳山荘に到着
やったー!
薬師岳山荘に着いたよ!
ガスの中を登る…薬師岳
雨の中、薬師岳山荘の内部をちらっと覗く。
内部は人でごった返していてとても入れない感じ。
天気予報の情報もなさげだったので覗いただけでスグに小屋の外へ…。
小屋の出入り口にあるベンチに腰掛け、地図を見ながら今後の予定を考える。
薬師岳山荘から薬師岳までは片道50分。
天気はこの後も間違いなく雨。
休憩していると、団体さんがやってきて小屋の前やベンチでワイワイ。
タバコを吸ったり、大声で話し合ったり…。
う〜んひとりはこういう時に居場所がないですね〜。
なんだかココで悩むのも面倒くさくなってきたので…
行って、そして帰ってくる!
と、歩きだしました!
6時43分薬師岳山荘を出発
こうやって歩き出した途端…なによ!このやる気を削がれる光景は…!
もちろん雨は降り続いているので、顔にピシピシと水滴が当たる。
雨と汗とちょちょぎれる涙が混じり合った顔で空を見上げるが
まっしろ。
薬師岳山荘を歩きだして3分で心は折れる。
ああ、どうしよう…帰ろうかな〜。
でも、とりあえず歩いちゃお。
雨は降っているが幸い風がないので歩いていて寒さがなかったのが救い。
寒かったら、撤退していましたね〜。
さて、ここらはガレ場をジグザグに登っていきます。
折り返す度に何も見えない上を見て帰ろうか… 。
そしてまた折り返す度に徐々に小さくなっていく薬師岳山荘を見て、でもこんなゆっくり歩いていても進んでいるわけだし進むか…と歩く。登る。
ちょっとした岩場の登り下りがありますが手は使わずに済みます。
ここらで一人の男性とすれ違う。
この先の道などに関するアドバイスをいただけました。
すごく山や登山道のコトに詳しい方だったので、山の関係者さんかな?と思いました。
万が一彼にちょっとでも
あなたのようなおばさんが1人で行くのは危ないよ
なんて言われたら即撤退しちゃうぐらいのオーラをお持ちでしたわ。
こうして歩いていくと、合流点付近にある避難小屋がうっすら見えます。
他にすれ違った方から避難小屋近くに雷鳥が居たと聞いたので探してみるが居ない…。
さびしい…。
ちなみにこちらの避難小屋は現在はボロボロになりすぎていて、避難小屋としての機能はありませんのでコース上の目印として覚えておく存在らしい。
そうそう、今回の写真が時折変に屈折しているのは…すべて雨粒です。
こまめに拭いているんですが…スキを見計らってはカメラのレンズに付くのよ〜!
ああ、それにしても雨の降ること…。
実はこの2018年の夏。雨が全然降らなくって、薬師岳山荘のホームページには水不足が半端ない的なコトが書いてありました。なので…
そう思って登る。
そう!思考はレッツポジティブに!
薬師岳山荘から薬師岳までの道のりですが、ちょっとした岩場の登り下りがありましたが、最後まで三点確保の姿勢を取ることなく登りきれました。
薬師岳山頂に近づくとケルンがあっちこっちに…。
あああ…もうちょっとで薬師岳山頂だわ〜!と思っていた時に、こちらに写っているおじさんから話しかけられてお話し。
車の関係で、ピストンで折立へ戻ると言うそうで、私が室堂方面を目指していると言うと「イイネ!羨ましいね!」と応援してくれました。
現金なもので、人に羨ましがられると…嬉しくなって行っちゃおうかな〜!パワーが戻ってくる。
しかも、なんと!雨も止んできた!
おじさんと別れを告げてから…薬師岳山頂に登頂!
うわー展望なんて全くないけれど…山頂きたぞー!
7時52分薬師岳山頂に到着
薬師岳の標識です。
そして薬師堂も…よくもまあ、こんな過酷な場所に建っていること…。
山頂から見る風景は、どこもかしこもガスはかかっていて真っ白でしたが…雨は完全に止み…何だか空も明るくなってきた気がします。
これは…さらに先へ進める条件になってきたってことじゃないかしら?
さっきまでの
山頂に着いたら折り返す、山頂に着いたら折り返す。
そんな決心はドコかへ去り、
足は北薬師岳方面へ向かって進み始めました。
次回「折立から室堂へ単独テント泊縦走(5)北薬師岳・間山編」に続きます。