03長谷川ピークから飛騨泣きまで
長谷川ピークを越えた後だと…ちょっとした岩場なら可愛く感じます…。
そしてまた上り…。
知らないところでとられていた写真…思いっきりへっぴり腰じゃないですか…。
長谷川ピークを越えて、岩場の道を進んでいくと…角材に作られた桟道が現れました。
スゴイところに作りましたね…。
この桟橋がなかったら相当な難所なんだろうな…設置して下さった方々ありがとう!
と感謝の気持ちを秘めて、渡り終えると間もなくA沢のコルに着く…そう思った時に向かいの登り斜面にやたら人が立っているのが見える。
途中の難しい道…、ちょっと歩き方を間違えてお尻でズリズリと渡ってしまった…。お尻で進むって…何か会った時に滑り落ちていくから良くないですよね?
人が溜まっていたポイントの周辺で一番凛々しく立っていた人から
あと5分でヘリコプターがやってきます。
安全のため、そこで待機するかコチラまで登りきって下さい!
と言われて…あたふた下って、A沢のコルを通過して…斜面を登る。
急いで通過したA沢のコルは大キレット核心部の中で落ち着いて休憩のできる唯一のポイントらしいのですが…一番急いで通過した場所となりました。
声をかけてきた方は山岳救助隊の方。
ヘリコプターから離れ、安全確保ができる場所まで移動したら動かず座ってヘリコプターの登場を待つことに。
いや〜スゴイですね、ヘリコプター。
あっという間に現れて、あっという間に去っていった…。
なぜ、この場で山岳救助隊のヘリコプターが来たのかは割愛しますが…どうしても知りたい方は検索サイトで「2017年 9月9日 A沢のコル 事故」で検索をすれば分かるかと思います。
山岳救助隊のお仕事を見たあと、心を引き締めて再び岩場にとりかかる。
岩場のかなり急な斜面をペンキマークを頼りにつづら折りに登っていく。もちろん三点支持態勢…。
Kさんは常に後ろについていてくれますが、ルートに関しては私が聞くまでは何も言いません。
私は「アッチへ進め」とか「ここはこうして!」事細かく指示されるのが苦手なので、このKさんのサポート体制は自分に合っていて良かったです。
時折ペンキマークを間違えて、×マークの方へ進んでしまい
幾度も繰り返しましたがね…。
そしてココでも繰り返し言っていたのが…
ははは…だってジャンダルムの方が大キレットより難しいって言うじゃないですか、大キレットを越えられずジャンダルムへの道は開けませんよ。
今日通っている大キレットよりジャンダルムの方が足場も鎖場もないと聞くので、鎖に頼らず歩ける場所は岩をきちんとホールドして進めるよう心がけて通るようにしました。
ここを上りきり、小さな鎖場を過ぎると一枚岩をクサリを使って登る場所が現れた。
こちらは先程のヘリコプターで待機していた人たちが多数いたことで、ほんのチョットだけ渋滞が発生していた。
一枚岩はほぼ90度に見えるほど…垂直!
ボルトや鎖や鉄板の足場まで用意してある。
足の短い私にはここを登るのが一苦労だ、こんな時ああどうして私はこんな5頭身に産まれたのだろうか…と悔しくなる。
長身かつスリムなKさんの身体が羨ましい…。
この一枚岩を乗り越えた先には太めの鎖と足場のステップを備え付けられた稜線に出る。
左側の斜面は切れ落ちているので落ちたら…ひとたまりもない稜線です。
今日みたいに晴れているからいいのですが、雨や凍っていたらツルツルしそうな場所…。
鎖とステップのコラボにちょっと気が弱りそうになりながらも、落ち着いて通ればなんてことないさーで通過。
実はこの難所を通過してだいぶ経ってから大キレット最大の難所「飛騨泣き」がいつ現るかが気になって、気になって…我慢できず
とKさんに聞いた所…
さっきの垂直のところだよ
との解答をいただき…
大キレットの一番の晴れの舞台?「飛騨泣き」を知らないで通過しちゃった!
けれどね、帰宅後色々な方の山レポを見ると飛騨泣きに気が付かず通過しちゃった人の多いこと!
私も含め、飛騨泣きに多大なる期待を持ちすぎてしまったからかしら?
04飛騨泣きから北穂高山荘まで
さて「飛騨泣き」の岩場を越えると、最後の急登が目の前に広がります。
事前の下調べや目の前に広がる風景で分かっていたけれど、南岳小屋から北穂高小屋へ向かう大キレットコースは最後に岩場の急登がドーン!と待ち構えているのです。
細かい石が多い場所を登りきると、大キレットの核心部は終わり…。
ああ、もう激しい道がないのか〜と思うと安心するとともに…もうちょとワイルドな岩場を歩きたかったな…と思ったりもする。
それもこれも無事に通過できたからの慢心ですね。
岩場に「展望台」と書かれた場所に出る。
見上げれば北穂高山荘が見える…う〜ん近いけれど、間にそびえ立つ岩場の急登が強敵でまだまだ時間がかかることを示している…。
滝谷の崖も右手直下に見えます。
世の中にはこの崖を登る人がいるんだとか…なんて恐ろしい…。
そうそう、この大キレットだけで頭を岩に3,4回はぶつけました。
大体、勢い良く岩場を上った時に張り出した岩にゴツン!ですね。
ヘルメットがなければ相当痛い思いをしたと思います…なので大キレットへ行かれる方!ヘルメットは絶対に会ったほうがいいですよ!
ちなみに、Kさんは一度もぶつけてないって…ふふっ…。
※イラストではヘルメットを書きませんでしたが、大キレット〜穂高山荘までヘルメットは常に着用しています。
北穂高小屋に向かって歩きだすと直ぐ「北ホあと200m」と書かれた岩が…。
最初200分と勘違いし…
とちょっと途方に暮れました。
この200m…距離の200mと思いたくなりますが、標高200mが正しい。
大キレットの核心部を通過してきて、肉体的・精神的疲労が溜まっている中の200mの登りは結構きつかった。
最後のザレた長い長い九十九折りを気を抜かずに登って行きます。
やっと北穂高小屋の姿が事細かく見えて来た。
ああ、もう「大キレット」が終わってしまう…。
期待が高かった分、終るのが寂しい…。
着いてほしいけど、もう着いちゃうの…?揺れる乙女心を抱えながら登ります。
けれども最後のこの登り、あそこに、そこに見えている北穂高小屋になかなか着かないんですよ。
それだけ急登なんですよね。
登ってみて思うんだが、下りは相当怖そうだ。
上を見ている分には下を見なくていい分、怖さは軽減されるけれど、下を見て下っていると…足を滑らせたらあそこへ落ちるのか〜と思いながら下るのって絶対怖い!
後もうチョット、後もうチョット、後もうチョット、を心の中で幾度も繰り返しながら…
急登で短いハシゴや鎖の岩場を通過し、そして、ついに!、北穂高小屋に到着。
08時47分北穂高小屋に到着
「大キレット」無事に通過できた!
北穂高小屋のテラスでは大キレット通過時に会話をしたあの人、この人と通過できましたね〜!!!と言い合っちゃう。
一緒のパーティではないけれど、同じ日に大キレットを通過したという連帯感がそうさせるのか?
取り急ぎダンナに「大キレット、無事通過!」のメールを出し、Kさんと乾杯…もちろん私はジュースです。
北穂高山荘のテラスから見る大キレットは見ても見ても見飽きない。
大キレット…想像していたよりは楽に通過できましたが、やはり難易度の高い登山道であることは間違いありません。
長谷川ピーク、飛騨泣き以外にも気を抜けば落ちちゃう所もたくさんありましたし、岩場をずっと上ったり下ったりするので人の多い日はいつ落石が起こっても不思議じゃない。
今回通過できたからと言って次回も絶対に大丈夫という保証なんてないし、今後私が誰かをエスコートして大キレット通過はできませんし、じゃ二回目はひとりでも行ける?と問われたら…
としか言えません。
この大キレットを楽しく通過できたのはひとえにKさんのおかげです。
信頼できる人が常に後ろで見ていてくれる、ルートや全体的な通過時間も彼に任せているので自分はただ登れば良いという恵まれた環境にいるから安心して大キレットを通過することができました。
なので大キレットを通過できたから「私はもう脱・初級者よ!」とは言い切れないな〜と思っています。
登山、どこまでが初級者?どこからが中級者?の区別はわかりませんが…車の運転と同じくいつまでも初級者の気持ちを持って登山を楽しんで行きたいな〜と今回の記事を書いていて思いました。
と、まるで締めくくりのような文章ですが…レポはまだまだ続きます。
と北穂高小屋を後にすることに…ところが、ところがですよ…。北穂高岳から奥穂高山荘までの道のり…私にとっては大キレットよりコッチの岩場の方が難所だ!怖い!と感じました…。
次回は「脱初級者?仲間のサポートを受けて大キレット・ジャンダルム縦走(4)北穂高岳編」に続きます。