03横尾からババ平キャンプ場
さて、横尾山荘から橋を見て、右手の方に進むと道が二俣に分かれ、道標が立っています。
道標に書いてある距離は…横尾から槍ヶ岳まで11km。長いなぁ。
左の道を選択し進む。やっと登山っぽくなってきましたよ!
横尾の分岐からしばらくは沢を左手に見ながら沢沿いを登っていきます。木々に囲まれた道なので木の根っ子に気をつけながら歩く。
今までの林道や先程まで居た横尾と違って、人がぜんぜん少なくなるので茂みなどがちとコワイ。
しばらく歩くと橋が現れ、
渡った場所が一ノ俣。でプチ休憩。
ここでおにぎりを食べながら予定時間と現在時間を照らしあわせて、予定より遅れていないかを確認。
その後も沢沿いのなだらかな登りながら進むとスグに二ノ俣。
水を汲み上げる自動的な音がしてきて、槍沢ロッヂに到着しました。
9時35分槍沢ロッジに到着(出発から3時間52分経過)
槍沢ロッジも綺麗な外観をした山小屋です。
ここで大休止をとることに。
もう4キロ歩いてきたのか〜とコーラを購入し、飲みながらこの先を考える。
今回のエスケープルートとして、槍ヶ岳まで登れる自信がなかったら槍沢ロッジのテント場に泊まるのだが、槍沢ロッジからテント場はかなり離れている為、受付するなら今なんだよな〜とチョットだけ悩む。
槍沢ロッヂの外ベンチのある場所に設置されている望遠鏡から見る槍ヶ岳は本当に遠い。
あんなところまで私は歩けるのだろうか?
今日中に私は彼の地に立っていられるのだろうか?
槍沢ロッヂのテント場に泊まったほうが無難?
でもねぇ…まだ午前中だし…。
自問自答が止まらない…けれども…私はできることなら槍沢ロッジのテント場「ババ平キャンプ場」には泊まりたくなかった…その理由は追々…。
と意を決して、槍沢ロッジでお水をタップリ補給して…進むことにした。
しかし、歩き始めてスグ後悔…槍沢ロッヂを出発してすぐの急登が…辛い!
テント道具一式を入れたザックが本当に重いので、一度休憩した為に身体がその軽さに喜んでいた分…キツイ!
槍沢ロッジから出てよっこらしょっとぐらい歩けばババ平キャンプ場じゃ〜んと思っていたのに、全然着かない!
やっぱり今日はババ平キャンプ地で休んだほうが良かったんじゃないかしら?と思いながら登るとようやくババ平キャンプ地に着きました。
10時28分ババ平キャンプ場(出発から4時間45分経過)
テントが張ってありますが誰も居ないようです。皆さん槍ヶ岳に行かれたのかしら?
今日の行程をココで終えたら楽だよな〜と思いつつ…進むことに。
先程も書いたのですが…実はババ平キャンプ地に泊まるのに抵抗があった理由…それは…2013年、ここのテント場のトイレは入るのに勇気がいるとの情報を読んでしまったからです…!
噂のトイレがコチラになります!
どうです!ちょっと…よろしくない想像しかできない外観ではありませんか!
事前準備中に、このトイレの情報を読めば読むほど絶対!入りたくない!と思いました。
でもテント場から槍沢ロッジまでは遠いので、寝る前にちょっとトイレとか夜中にトイレとか考えるだけで辛い…。
トイレとこの先歩く道のり、どちらが辛いか…天秤にかけて考えると
このトイレを目の前にしたことで、今日は何がなんでも上まで行くぞ!と心が決まる。
たかがトイレ、されどトイレで…トイレに見送られて私はこのババ平キャンプ場を後にしました。
これは当時の話で、2016年に通過した時はきれいなトイレが建設されていました。入っていないので確信はもてませんが…。こうして新しいトイレを作っていただけることは本当にありがたいので、山のトイレには必ず協力金を入れるようにしましょうね〜。
04ババ平キャンプ場から槍ヶ岳と殺生ヒュッテの分岐まで
ババ平を過ぎると樹林帯を抜けます。日差しを遮る木々もなくなり…暑い。
この先も左手に谷を見ながら進む。景観が素晴らしいのがテンションを上げてくれる。
ババ谷はしばらく平坦な道だが、槍沢大曲りより傾斜が増してくる。
また、このあたりから傾斜もしんどくなってきました。
青と緑のコラボレーションが素晴らしい道です。
12時7分天狗原分岐に到着(出発から6時間25分経過)
ここは標高2400mあたり、いやあ登ってきたな…。
この場所で、槍ヶ岳方向の登山道と、天狗池と天狗原を経由して南岳方向への登山道が分岐します。
でもね…天狗原分岐から槍ヶ岳山荘まで…まだまだ3時間ほどかかるらしいのよ!
天狗原分岐を過ぎた頃から傾斜のキツイつづら折れが始まります。
ココら辺になると、テントの重みと疲労でだいぶ記憶がおぼろげ…。とにかく一歩、一歩を踏み出して進む。
あそこまで歩いたら、立ち休憩しよう。
で、目的のポイントに着いたら
あ、でもここまでこれたから休憩しないで次に見えるあのポイントで立ち休憩しよう。
その考えの繰り返しで進む。
最後の水場となる水汲沢を過ぎ、一段登ったところに広い場所のグリーンバンド付近までくると、ようやく槍ヶ岳のその姿をはっきりと確認できるように…!
ふう、と一息ついた時、さっきから腰回りがびしょびしょ。
汗だと思っていたのですが…ただならぬ濡れ具合…なんかおかしい…。
泣きたくなる程重いザックを降ろして確認した所…どうやら…ハイドレーションの袋から水漏れ!
飲料水がなくなるなんて!
ほんとやばい!
大きく破損しているわけではなく、小さい、ほんと小さい穴からチョロチョロと出ているみたい…。
テーピングテープで破れているであろう場所をグルグルっと巻いて…応急処置をしてみました。どこで破いたんだろう?槍沢ロッジで水を入れた時にひっかけたのかしら…?
破れた地点から見て、水は500mlぐらいは確保できそうな感じ…これで殺生ヒュッテまで持つだろうか?危機感を感じながら再び上ります。
ヒュッテ大槍分岐まで来ました。道標に書いてある到達地点までの距離が私を誘惑する…。
土もなくなり、岩と小石の道なので疲れた足裏が痛いですが、ノロリのろりと上ります。
ちんまりとした雪渓も出現。雪渓は滑りやすいので気をつけて進む…。
槍ヶ岳を、槍ヶ岳だけを見つめてガレ場を進むのですが、一向に近づきません…。
標高も高いのと8時間以上テント装備を背負ってきた疲労で一歩が、その一歩が進まないのです。
槍ヶ岳の下にある建物、殺生ヒュッテがやっと間近になってきました。
14時10分槍ヶ岳と殺生ヒュッテの分岐(出発から8時間28分経過)
槍ヶ岳まであと1キロもあるんですって…まだまだ距離があるな〜…。もう、岩を登るとか辛いなぁ…しか出てこない…。
実はこの計画を立てた時から…
の欲望を抱えていました。私。でも時間はすでに14時過ぎ…右を見れば殺生ヒュッテのテント場が間近…。
槍ヶ岳山荘のテント場はもう満杯だよ。そうよ私の本来の予定は殺生ヒュッテでテント泊なんだからこのまま右に曲がればいいのよ!
と自分に言い聞かせていたら…私の後ろを通過していったカップルの会話が聞こえてきました。
槍ヶ岳山荘のテント場、まだチョットだけ空いているって
何?その言葉!ええ?空いているなら…あと1キロ頑張る?
でも、でも〜〜〜!どうしよう?どうしよう!
揺れる心と疲労たっぷりの身体を抱えて、分岐点で立ち尽くす私。
さて、この後私はどこを選択したのでしょうか?「単独テント泊で巡る、上高地から槍ヶ岳そして双六岳へ(2/5)」に続きます。