03西穂山荘から新穂高温泉へ
西穂山荘…今から思えば、ゆっくり立ち止まって見てくれば良かったのに…そのままスルーしてロープウェイ乗り場を目指す。
西穂山荘向かって右にある道からロープウェイへの道が始まるのだが…
今までの見晴らしの良いハイマツの稜線から一気に鬱蒼とした樹林帯に景色が変わった…。
登りの人たちと多くすれ違い始める。
西穂山荘を出て20分ほど経った時、すれ違った男女から…王道の…
あとどのくらいで西穂山荘に着きます?
と聞かれちゃったよー!
この質問…困るんだよね〜。だって、人によって長いか短いか感じるのが変わるでしょ?
正直答えたくなかったけど…そこは大キレット、奥穂〜西穂縦走をクリアした私だもん!大きな心を持とう!
え〜!と叫ぶ彼らとすれ違った直後に、また同じことを誰かに聞いている声がしてきた。
どうやらそこでの答えはもうチョットって言われたらしく。
さっきの人はまだまだって言ってたよ、いい加減だな〜
との声が…!
やっぱ慣れないことをするもんじゃない。
その後も延々と樹林帯を下っていく…。
岩場の稜線を通り抜けて疲れているし、稜線を歩き抜けて贅沢になった気持ちが展望のない道を下ることを嫌がっている…。
途中ではた!と気が付き、朝4時からかぶり続けていたヘルメットを脱いだ。
その後も延々と、延々と下る。
ここまで来たら早く下山して、登山靴を脱いで風呂に行きたい気持ちが強くて…樹林帯下山がほとほと嫌になっていた…そこに追い打ちのように…後ろから…
リンリン×3の音…!
後ろにいる3人組がそれぞれの熊鈴の音を立てながら下山しているのだ。
その音にたまらず…早足になる。
三者三様、別のタイプの鈴をつけているようで…その音のコラボレーション音がキンキン!していて非常に耳障り…。
自分が過去に書いた「SNSで山仲間を探す(5)熊鈴考察」のオバちゃんたちの顔が頭に浮かんでくる…。
疲れ・樹林帯・熊鈴の音の三点セットのおかげで西穂山荘からの下山が…なんて長く感じることでしょう…。
なんだかもうそろそろロープウェイなんじゃないかな〜?という雰囲気が漂う辺りまでくると、小さなアップダウン道が現れる。
けっこうしんどいよ…コレ。
ロープウェイ近くっぽい場所まで来ると踏み板が設置された場所もある。
周囲に笹が茂った急勾配の登ると、道が開けた場所に小屋が現れた。
待望のロープウェイ乗り場…ではなく西穂高岳口登山届所…。
失望感を抱えつつ、小屋と周りを見回すと…
ここには「これより登山道」ゲートが設置されてます。
お!ここより…ってことはこの先は登山道じゃないマッタリとした道になるんだよね?
そのまま進むと道は千石園地と呼ばれる遊歩道になっていき、登山とは全く関係ないファッションの方々が散歩をマッタリと楽しんでしました。
そして…ようやく…ようやく着いたよ…!
13時30分ロープウェイ西穂高口に到着
あ〜〜〜〜!ここまで来れば…後は機械の力を使って下山できるー!
Kさんとの待ち合わせの新穂高温泉駅までは2つロープウェイを乗り継いで向かいます。
まずは西穂高口駅→鍋平高原駅まで乗車する為にロープウェイ乗り場へ来ると登山客よりも観光客の方が多く並んでいた。
ロープウェイは30分に1本。
並んで待っていると…Kさんからメールが…
私がいる西穂高口駅の向かう先の鍋平高原駅に既に到着しただと…?早い…早過ぎるよ…!
さっき別れてから2時間で…随分と現在地の差ががついたわね…。
乗車時間になったのでロープウェイに乗ります。こちらのロープウェイは2階建て!
ロープウェイを吊るしている支柱を通り過ぎる時にちょっとゴンドラが揺らぎます。その度に起きる黄色い悲鳴を聞くとああ、観光地に帰ってきたな…と思う。
しらかば駅に着いたら、ちょっとだけ歩いて鍋平高原駅まで移動。
鍋平高原駅からまたロープウェイに乗ります。
あ〜…もうチョットだーと思っていたら…再びKさんからメールが…。
ロープウェイ下山が…徒歩下山に負けた…!
弁明させてもらうなら…私はほぼコースタイムで下山してきたので…これは…明らかにKさんが早過ぎるんですよ!
ひえ〜!ひえ〜!と思っているウチにロープウェイは鍋平高原駅を出発して…やっと新穂高温泉に到着。
14時13分新穂高温泉駅に到着
ああ…長い一日が…長い山行が…やっと終わった。
無事にたどり着いた…。
一生通ることのないと思っていた大キレット・ジャンダルム登山が今、終わりました。
04大キレット・ジャンダルムを終えて
こうしてKさんのサポートを受けて、無事大キレット・ジャンダルム、奥穂高岳から西穂高岳への縦走を終えました。
あの日…新宿の居酒屋で軽く言われた
まさか本当に行けたなんて…。
でもね、こうして無事に通過できたのは全てはKさんのお陰です。
ひとり登山を初めて5年近く経つけれど一度だって100%安心なんてありません、むしろいつも不安を抱えて歩いています。
今回のような危険箇所へ行く時にその不安を抱えずに通過できたのが無事に、そして楽しく山行を終えられたポイントだったと思います。
本当に…ただ、ただ、Kさんのサポートに感謝です!
こうして記事を描いていると…。
な〜んて思っちゃいますけど…今度行くときは1人でしょ?
誰かが一緒でも私はKさんの様にサポートできないし…他に、今まで山に一緒に行ったことのある人の中でジャンダルムや大キレットを通過できるスキルの持ち主たちは…きっと私を置いて行ってしまう人ばかり…。
きっとダメだな…もう行けない。
ダンナにも
って念を押されてしまいました…。
なので、この山行の思い出を一生大切にしていこうと思います。そしてテレビで大キレットやジャンダルムに関する番組を見るたびに…過去の栄光にしがみつくオジィの様に…
と傲慢な態度で思い出にしがみついて生きていこうと思います。
これで全8回に分けて綴ってきた「脱初級者?仲間のサポートを受けて大キレット・ジャンダルム縦走」を終わります。
長々と読んでくださった方々ありがとうございました。