03下山中のイライラ
すっかり人もいなくなった燕山荘から出発し、後はもう下るだけ。
私の人生でもう二度と来ることはないだろうな〜燕岳…と思いながら道を下り始めます。
下り道は登りで感じた呼吸の辛さを感じないので周りの緑を見る余裕もあります。
一緒のメンバーは花の写真を撮ったりしていました。
スゴく平和な下山です…。
楽さにかまけて、快調なペースで下っていると…
友人A男から
この言葉を聞いてしまうと…欲望が湧いてきました…。登りと違って下りはぜんぜん余裕のよっちゃんな私…それなら下りは自分のペースで下山してみたい。自分のペースで降りればどのくらいの時間で降りれるのか…気になる。
メンバーの同意を得て単独でハイペースで降りてみることにしました。
え?ちょっと待って!パーティーがバラけるのは良くない!はい、そうです。けれども当時の私は誘惑に負けました。今は絶対しません。うん。
これからガッツリ降りるので、燕山荘をもう一度振り返る…。
そして、下り始めます。登りと同じ登山道で道がだいたいわかっている上に、ガレ場やクサリ場も下りもないので歩きやすい道です。
気がつけば仲間の一人・友人C男も
と追いかけてきたので一緒に下ることにしました。
なかなかのいいペースで下っていると思っていたら…自分と仲間の後ろにチラ、チラっともう一つの影が見える。何?あれは…人だ、知らないオッサンだ。
ずっと一緒のペースで下ってる?もしかして道を塞いでた? 私? それはそうとう邪魔でした!すみません!
いったん止まって…「我々は遅いのでお先にどうぞ」と道を譲る…が、「いえいえ、私も水を飲むので」とオッサンも休憩…。
ならばと…スタートすると…着いてくる!着いてくる!
自分たちの真後ろ直下に気配をムンムン!感じる!
曲がり角や階段でちらっと振り返れば…そこには…オッサン!
間に友人C男がいるとはいえ、距離がめっちゃ近いの!
私の心中は…
しかたがないので、キリの良い所でベンチに座り休憩してやりすごそうとしたのだが…なぜかオッサンも休憩タイムに入る…。
ベンチは休憩ポイントだもんね、仕方ないかと思って栄養補給していると後ろに気配を感じ…その近さにイライラする。
オッサンが何かもぞもぞしている今のうちに行くかとスタートしたら…またビタづきで着いてくる!
友人C男も一緒だから怖くはないけどあおられているようで気持ちしんどい、せっかくの楽しい下山も頭の中は後ろのオッサンのコトだらけ。
私の中では漂流教室(著・楳図かずお)で子どもたちが化物から逃げている姿で下っている自分の姿が脳裏をかすめます。
その焦燥感で下山時の写真を一切撮っておりません。
そして…後発の仲間を待つタイミングを掴めずハイペースなまま中房温泉へ下山してしまった。
そのオッサンはしばらく近くをウロウロしてから駐車場方面へ消えて行った…。
アレは何だったんだろう?と友人C男に問うと
ですって、ゴメン!コミュニケーション能力低くて…。
その後下ってきた仲間と合流し燕岳登山無事終了。
下山後も天気が崩れることなくこの晴天!
04下山後…そして
燕岳の思い出を振り返りいつかは槍ヶ岳に行くぞ!と楽しく談話している仲間の側で、私はベロベロに皮が剥けまくった靴づれの痕や死んだ爪を見ながら地べたに座り込み…
なんて思っていた。
なのに…その後登山が楽しくなり、この合戦尾根も数年後に何度も登ることになろうとは…しかも一人で…。
ちなみにその時一緒に登ったメンバー5人は今はもう登山をしていません…。今はもう体験することの無くなった大勢でワイワイ登山、またいつの日かすることがあるのかな〜?
今では登山が大好きな私も登山が嫌いだった時期があるんです。その要因はやはり体力不足!と知識不足。
元来、身体を動かすのが嫌いだったので足取りが重かった。平日は座り仕事をして一日を過ごし、休日は車で移動…1日何時間も歩くなんて私の生活習慣にはなかったのです。
そして自分で山の行程を調べるということをしなかったのも原因です。どこへ行くのかもわからない、何時間かかるかもわからない上り道を延々と歩くのはヤッパリキツイ!目隠しで道を歩いていると距離が長く感じるのと一緒でしょうか?
ダイエットがキッカケでジョギングを始め、そのジョギングに慣れた頃に登山へ行った時、登りを楽に感じ周りを見まわせる余裕ができたことから登山を好きになっていったと思います。
今は登山へ行く前にまず山行計画を立てるのが楽しい!ここをこう歩いて、ご飯はこうして…そしてその計画通り登山を達成できた時の嬉しさ…たまりません。
これにて長々と書いてきた燕岳に関するレポは終了です。
お付き合いくださってありがとうございました!